読書日:2015/09/25
いつも見ている書評ブログに紹介されていました。
「妖怪ウォッチはなぜ爆発的にヒットしたのか?」その秘密は行動観察にあるという。というキャッチコピー。行動観察とは一体なんなのかを知りたく本書を手に取りました。
著者は、企業の開発チームより依頼を受けて商品開発の支援を行っているその道のプロ。大ヒット商品の裏には、「行動観察」というマーケティング手法が使われているらしいとのこと。
この行動観察とは具体的には何なのでしょうか
行動観察とは、消費者が何を手に取り、何に悩み、どんな行動をとっているか実際に見て調査すること。その結果からビッグデータからは読み取れない隠れたニーズを読み取り、商品開発に役立てることだそうです。
実際の行動観察の現場では、ターゲットの共通点を探したり、不満を感じるときの表情を読み取ったり、「なぜそうしたのか?」実際に聞いてみたりと、事件の聞き込みをする刑事のように実にどろくさく地味なことを繰り返しています。これらを読み取るには鋭い観察眼が必要で、簡単には真似できそうにありません。だからこそ行動観察を開発者に変わってやってくれる会社があるのですね。
妖怪ウォッチの魅力を作り上げたのは行動観察
妖怪ウォッチのヒットの理由は、メディアミックスにあると聞いていました。漫画、アニメ、おもちゃを同時に展開することでターゲットである小学生が何度も目にして印象に残りやすくする戦略だと。もちろんメディアミックスもヒットの理由なのですが、行動観察もヒットの立役者だったようです。
私はプレイしたことはありませんけれど、妖怪ウォッチをやっているとまるで生活を見透かされているような気になるといいます。小学生の子供たちが生活で感じることや、親との会話などにに「ある、ある」と共感できる部分があるというのです。
この仕掛けは、ママさんライターに子どもたちを観察してもらい、彼らにありがちな悩みを出してもらったとのこと。それらをうまくゲームのストーリーに盛り込んで作っているから共感できるという話でした。「学校のトイレで大をするのが恥ずかしい」というのは今の小学生でもそうなんですね。自分の小学生のころと変わらないんだなぁと懐かしく思いました。
まとめ
大ヒット商品の例として妖怪ウォッチをあげましたが、この他にも良く名前を聞く大ヒット商品についての18個の例が掲載されています。「あの商品はこういったニーズで生まれたのか」が分かり、人に「知ってる?」と話したくなります。ちょっとした雑談のネタとして読むと面白いのではないでしょうか。私は大変興味深く読めました。
行動観察は、検索エンジンマーケティングにも通じる話だなぁと。
職業柄、検索キーワードを入力した人がどんなことを知りたくてグーグルの検索ボックスにその言葉を入れたのかを考えています。
目的がはっきりとしているキーワードは簡単なんですが、検索している本人もはっきりと目的が決まっていない場合もあります。その裏にどんなニーズがあるのだろうかと予測し、その求めているであろう答えを紹介するとかやっています。本当のところ、そのキーワードを入力した人にどうしてこの言葉を打ち込んだの?と聞くことができればいいですね。こういったところに行動観察をする人たちとの共通点を感じました。
どんな人におすすめか?
商品開発をする部署にいきなり配属された!
今は学生で商品開発とはどういうものなのか一部でも知りたい
ヒット商品の裏にはどんなマーケティングがあったのか?の話に興味がある人
すでに商品開発をしている人にとっては日常でやっていることでしょうから、体系的にまとめられた本として読むのもいいですね。